ナンシーグレース、人に歴史あり

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昨日、いつものように、講義前の新聞タイムを楽しんでいたら、12/2付けのNY Timesの芸能面の第一記事に私がスコットピーターソン事件のことを書いたときに触れた、コートTVのNancy Graceさんの記事がどーんと載っていたので興味深く読んだんですが、かなり、心を突かれました。

アメリカの「プロフェッショナリズム」というのは驚くばかりで、ほぼ100%のテレビ局のアナウンサー、アンカーマン、アンカーウーマン、コメンテーター、リポーターなどなどの全てが、ものすごい履歴書の持ち主です。つまり、「トピックに精通している」ということ。政治の番組にはものすごく政治に精通したアナウンサーが出てくるし、私の好きなCourt TVのアナウンサー、リポーターの全ては、だいたい、元弁護士、元裁判官、元検察官、などで、プラス、それにさらにジャーナリズムを勉強している人なので、「専門家」にわざわざ「これはどういうことですか?」と聞かずとも、自分の頭の中で、法律の詳細について理解していてかつ、自分の意見を持っていて、そしてそれを一般視聴者に伝える方法も勉強している、という人が多いのですね。

ただし、放送局もビジネスなので、「視聴率を上げる」ためには方法は問わない、という人も少なくないのでそのあたりは日本と同じですが、「マスコミ系に評判の良い」大学を出ていて、カワイイ顔をしていればアナウンサーになれるどこかの国とは大違いです。まあでも、「アナウンサー」だとか「キャスター」だとかの定義が違うので単純に比べるのは酷でしょうけれど。でもまあ、ナンシー本人も、意見が厳しすぎる、言いたいことばっかり言い過ぎ、ということで避難もゴウゴウですけどね。人気がある人は嫌われることも多い、ということでしょうか。

で、ナンシーグレースさん、プロセキューター(検察官)だった、ということは知ってたんですが、すごい記録を持っているんです。つまり、「負けなし」。そして、何に心を突かれたかというと、彼女の「検察官になった理由」です。

彼女は小学校か中学校の英語の先生になろうと思って大学へ行き、ちゃくちゃくとそういったキャリアをつんでいたんですね。アメリカで教師はそこまでお給料は良くないので、どちらかというと社会的クラスでいえば、まさに中の中。もしかしたら中の下にかかるくらいのクラスかもしれません。そしてフィアンセのキースグリフィンという工事現場で働く若い男性と婚約をして、結婚式の準備をしていたとのことです。そうしたら、なんと、そのフィアンセが強奪殺人されてしまったということです。そして悲しみにくれるナンシーが発見したのは、そのフィアンセを殺した犯人、その殺人を犯すまでに何度も、暴力や盗みで捕まっているのですが、刑が軽くてすぐに釈放される、というのを繰り返していたんですね。

若いナンシーさんは、このとき、その犯人が、ちゃんとマキシマムの刑罰を受けていれば、今頃刑務所にいるわけだから、フィアンセを殺すことはなかった!と思って悔しくて悔しくてたまらなかったということです。そして、いきなり彼女はLSATを受け、マーサー大学のロースクールに入学します。そして自分の一生を、犯罪の犠牲者の権利のためにささげよう、と誓ったということです。

単なる新聞記事なのに思わず涙が出てしまいました。だから、あんなにも強い語調で、犯罪者に激しく、冷たく、当たるのか、と改めて納得しました。昨日も、スコットピーターソン事件のことで、コメンテーターの人が「レイシー(殺された奥さん)の両親が辛いのはものすごく分かるが、スコット(犯人)が死刑になったら、スコットの両親(人々に好かれていて中上流階級の二人)も辛いはずだ」というコメントをしたときに、ナンシーグレイスがキっとなって、「それとこれとは全然違う!」と言い放って、自分の息子が誰かの命を奪った、ということがハッキリしたら、息子の命を捧げても、償わなければならない、と思うのが本当の親心だ!と叫んでました。見ているほうとしては、「いやー、親だったら犯罪者だろうがなんだろうが、牢屋の中でもいいから生きててほしい、と思うものじゃないかなー」とぼんやり思っていたんですけど、こうして彼女の過去を知ると、新聞記事に書いてあったように「シャイでHappy-go-luckyな」ナンシーが"Bull"(いじめっ子とか強引とか、勇猛だとかいう意味があります)になった、というのも分かる気がしました。

それにしても彼女がコートTVのキャスターになってから、この1年で視聴率が倍だそうですよ。倍。だって、私も見てるしね。すごい。

私が、どちらかといえば日本のテレビ番組よりもアメリカのテレビ番組のほうが見ていて面白いな、と思ってしまうのは、報道番組にせよなんにせよ、伝えるそのものの人が、知識豊富で、ユーモアがあって、見ていてニコニコしてしまったり、そうなのかーと深く納得してしまったりするからだなーと改めて思いました。み○もん○さんが、栄養と健康について話しているのを見ていて、時には正しいことも言ってるんですが、なんとなく気分が悪くなるのは彼が専門家じゃなくて、聞きかじり、あるいは、受け売りのことを言っているのがハッキリと分かるからだ、とまた改めて気づいてしまいました。あーあ、専門家がアナウンサーや司会者になる時代というのはそろそろ日本にも来るのかしら?じわじわ来てるのかしら?

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