« 2005年01月11日 |
Main
| 2005年01月16日 »
2005年01月12日
ノロウィルス、どうやら日本ではホットトピックみたいなので久しぶりに専門的見解なんて書いてみようかと思います。まず、「ノロウィルスなんて初めて聞いた!」と思う人も少なくないんじゃないかと思います。でも、実はこれ、別に新しいウィルスなんかじゃありません。昔からいるウィルスです。ただ、名前が統一されていなくて混乱のもとだったのでした。
顕微鏡で覗くと、小さい丸い形をしたウィルスなので、このような形をしたウィルスのことをSRSVs (Small Round Structured Viruses) と呼びますが、その種類のひとつ、カルシウィルス(Calciviruses)の仲間かな、と思われ、調べ始められました。が、どうやら科は同じだけれども、最終的に全然違う属だ、ということだけが分かったので、統一されないまま、そのウィルスが発見された場所、あるいは集団感染した場所の名前を付け始めたら、収拾がつかなくなってしまったんです。
続きを読む...
アメリカではNorwalkやMontgomery Countyなどで集団感染があり、HawaiiやSnow Mountainでもありました。イギリスではTauntonやMoorcroft、Barnett、Amulreeなどで見つかっていてそのウィルスにはそれぞれその土地の名前がついています。そして驚くなかれ、もちろん日本でも発見されていて、SapporoとかOtofukeなんて名前がついているのもあります。Sapporoはかなり有名でアメリカの微生物学者であれば間違いなく知ってます。で、一番広く知られているのがNorwalkだったので、今までは一般的にthe Norwalk virus familyだとか、the Norwalk-like virusesだとか呼ばれてました。
それで、このままだと、本当に混乱の元になる、と学者さん達が急に立ち上がり、ほんの数年前に、「よし、これらのウィルスを全部まとめて、Norwalkの名前を半分とって、"the Noroviruses"と呼ぶ事にしよう!」と決めたんです。そこでそれがカタカナになってノロウィルスとなったわけでした。CDC (Center for Disesase Control and Prevention) の定義によると:
Noroviruses (genus Norovirus, family Caliciviridae) are a group of related, single-stranded RNA, nonenveloped viruses that cause acute gastroenteritis in humans. Norovirus was recently approved as the official genus name for the group of viruses provisionally described as “Norwalk-like viruses” (NLV).
ノロウィルス(属:ノロウィルス、科:カルシウィルス)というのは連続した一本のRNA構造、ノンエンベロープ型構造で、人間の中に入ると急性胃腸炎を起こすウィルスのグループである。ノロウィルスは近年正式な属名として、今まで使われていた"Norwalk-like viruses" (NLV)の名前を置き換える形で認証された。
ということになっています。すんごい直訳のような意訳ですみません。で、ここからが重要なので、箇条書きにしてみます(文章でだらだら書くより箇条書きのほうがキャッチーだという研究結果をつい最近見たのでマネしてみます)。
- ノロウィルス感染の症状は、一般的に深刻ではない。
- 他の菌やウィルスに比べると、臓器に恒久的な影響を与えたり、死んだりすることはまれ。
- ただ、症状は「深刻にみえる」。
- 1日に何度も吐いたり下痢をしたりする。
- 幼い子供、老人などが感染すると一気に深刻になる。
- 幼い子供、老人などはノロウィルスが直接原因で死ぬわけではない。
- ほとんどの場合は吐いたり、下痢をしたりしたときの脱水症状から死亡に至る。
- 他にも免疫系が弱い人(エイズ患者、臓器移植経験者、抗がん治療患者、妊婦など)は症状、結果が深刻になる場合がある。
そしてこれはちょっと「うえぇぇ」と思うかもしれませんが本気の事実なので書きますが、
ノロウィルスは、ほとんどの場合、「人から人へ」や「ウンチからお口へ(Facal-to-Oral)」、「お口からお口へ(Oral-to-Oral)」などの経路をたどる!
ぎゃーという感じですが、つまりですね。ノロウィルスがついている物をさわった手で何かを食べたりすると感染するし、それで握手なんかしちゃって人にもうつしちゃったりもするし、とにかく人間が普通にやりとりできちゃうウィルスなんです。これらの経路をたどらない数少ない経路は、「水」です。海の水、川の水、などなどちゃんと飲み水として安全を確保されていない水にノロウィルスがいることはあります。ので、もちろん、生の魚介類はノロウィルスのリスクはあります。貝類(クラムやオイスターなど)エビ、カニなどのいわゆる「シェルフィッシュ」と言われる食べ物が一般的にリスクがあると言われています。
でも本当に多いのは人から人、ウンチからお口、お口からお口です。一番分かりやすい例なんですけど、ノロウィルス集団感染はなぜかクルーズ船なんかで起こりやすいんです。どうしてか。
- ノロウィルスは少量だけれどもだいたいどこにでもいる。
- クルーズ船で誰かが船酔いする。
- 船酔いしつつもレストランで食事をする。
- 食事中に気分が悪くなりトイレまで我慢できずにうえーとやってしまう。
- そのうえーにノロウィルスが入っている
- 従業員がお片づけをする。
- その従業員に濃度の高いノロウィルスがくっつく
- うえーが飛び散ったあたりにはノロウィルスがものすごい速度で繁殖している。
- 誰もが手をあらう訳ではない。
- 従業員もそのまま他の客に接したり食事を運んだりすることもある。
- 周りの人も手を洗う人洗わない人といて、いろんなところを触ったり物を食べたり握手したりする。
- 集団感染となる。
という経過になるからなんです!汚い話ですみませんね。でも本当の話なんです。つまり、Oral-to-Oralというのはそういう意味なんです。レストランの座席表を書いて、ノロウィルス感染したひとに「どこに座っていましたか?」と聞くと、面白いほどに、その「うえーーとやってしまったひと」を中心にして感染が広がっているんですよ。実際に研究者はちゃんと座席表を書いて調べたりします。
そしてクルーズ船といえば、やっぱり海鮮のお食事もたくさん出るんでしょうね。リッチなロブスターとかね。そのあたりも、リスクを高めているといえば高めているかもしれませんね。
Facal-to-Oralは考えるのも書くのもイヤですが、仕方なくドライに書くとして、従業員さんに限らず、だれかがトイレにいって手を洗わずに過ごしていると、普通にどこかでノロウィルスというのはくっついてくるものなんです。ただウィルスの量が、人を病気にさせるほどではないんですが。でも集団が寝起きを共にしている場所だと、濃度が濃くなっていくのは分かりますよね?手を洗わない習慣のひとはきっといつでも洗わないんだろうし。それであるとき人を病気にさせるレベルの量になっているというわけです。まあ、ウィルスですから、その「量」というのは一般の菌よりも低いレベルで症状が出始めるかもしれませんが。このあたりはまだ研究が進んでいないので未知ですね。菌が検出された人でも発症しなかった人は結構います。
と、まあこういう理由で、ノロウィルスというのは集団で感染しやすいんですよ。そして、お年寄りがいっぱいいる病院、老人ホーム、子供達が一杯いる幼稚園、保育所、などは目立ちますね。症状がひどいし、亡くなる場合もあるから。そして社員食堂、レストランなども「集団」がかかりやすいという意味で発見されやすいわけです。
で、結論。
手を石けんでしっかり洗いましょう。
あーあ。いつもなんですけど、私の研究ってどんなに難しく頑張っていろいろやっていても、一般消費者に伝えるときは、「そんなの分かってるよ」という結論になるんですよね。なんだか悲しい。でもこれって本当の事なんです。
具体的にノロウィルスを避けるには、あるいは、ノロウィルス感染後に事態を悪化させないようにするには、
- 手を洗う。
- 手を洗う。
- 手を洗う。
- 処理されていない水は飲まない。
- 魚介類の生食はリスクを承知の上で。
- 近くで誰かがうえーとしてしまったら、そのへんのものは食べない。
- お年寄り、子供のいる家庭では、腹痛、吐き気などの症状のときは水分をたっぷりたっぷり、多すぎてもいいくらいにとりましょう。
- そして手を洗う(しつこい)。
といったところでしょうか。でも、手を洗うって言っても病的に何度も何度も洗え、ということじゃないんですよ。ポイントを押さえるのが大事なんです。とにかく食事の前、トイレのあと、上から出るものや下から出るものに触れた可能性がある時、帰宅直後、とポイントだけ押さえればいいのです。人とは握手しない!エレベーターのボタンはさわらない!とか、結構ポイント外してますよ。
...続きを隠す
関連カテゴリ:栄養
| コメント (2)
2005年01月12日
以前に、ポスドクなんて雑用係みたいなもの、とポスドクの皆さんが自嘲気味におっしゃっているのを聞いて、学生のときは、「謙虚だなぁ」なんて思っていたんですが、実際こうしてポスドク半年終えてみると、本当に雑用係だなーと思って笑っちゃいます。でも、これはポスドクの他の皆さんの名誉ために書くんですが、雑用を言いつけられるといっても、もちろん、専門の中での雑用なので、専門以外の方がやろうとしてもできない種類の雑用です。そして、私じゃなくて他のポスドクのみなさんは、そんな雑用をこなしながらも、さらに立派な研究を続けていたりして、他の皆さんはホントにスゴいんです。私はひたすら雑用ばっかりしてますけど。
で、最近の雑用ですが、うちの学部のウェブサイトを手がけさせていただくことになりました。プラス、先生達のリサーチ内容についてサマリーを書いたり、先生の論文の概要を書いたりするので、事務+リサーチといった感じですね。そうしたら、なんと同じ時期に、うちの旦那さんのAさんも、彼の学部のウェブサイトを手がけることになったんです!私と全く同じように、学部のすべてのページを全部、丸投げされちゃったみたいです。いいのか、WSU?こんな日本人夫婦にそんなの任せて?という感じですね。まあいいんでしょうけど。だからといって二人ともたいした事できるわけじゃないし。
続きを読む...
ポスドクの雑用は他にどんなことをしているかというと、
- さまざまな論文書き。これが仕事の80%。
- 論文の提出、書き直し、リビュワーとのネゴシエーションなどなど。
- 研究結果を一般に広めるためのプロジェクトの企画、実施。
- 具体的には新聞、雑誌などへの広報活動。
- 食料品店などでのキャンペーンなど。
- 統計処理と、そのレポート書き。
- データ入力、フィギュア(図)、テーブル(表)作成。
- 学会発表用のポスター作成。
- 学会発表用のプレゼンテーション(PPT)作成。
- 先生たちのコンピュータでのトラブル対応(ITの人呼べばいいのに)。
- プレゼンテーションワークショップ開催
あまりにみんなが教えて教えてと一人ずつ合計4人来たので、えーい、この際、4人まとめてやってしまえ、と思って、他にも希望者(先生ばっかり)を募って、自前のラップトップをプロジェクターにつないでどうやってサクサクとプレゼンをするか、画面に使用する色、デザインなどについて講義したら、最後に数えたら全部で16人来てました。びっくり。みなさん興味あったのね。でも楽しかった。またやりたいです。
- 相変わらずブローシャ、パンフレット作成(ページメーカー大活躍)。
- コピー(大量に)。
- 電話番(自分のオフィスで、ですけど)。
- 頼まれた論文集め、そのサイテーション作成、コピー。
- お茶くみ(自分に)。
こんなところですね。あ、そして上にも書いた、ウェブサイト作り、なども入ってくる訳です。
それにしても、私がPhD始めたときにValが買ってくれた、私のデルちゃん(コンピュータ)、2日前に、新しいオフィスメイトのLoriにプレゼントしちゃいました。だって、ウィンドウズ、ほとんど使わないから。SASはウィンドウズにしかないのでどうしても必要な場合はLoriに頼んで使わせてもらうことにしてるんですが、今のところSPSSとMiniTabで間に合っているのでSASの出番はなし。でも今までフツーに自分のデスクにあったものが人のデスクにあるのを見るとなんとなく寂しい気分がしちゃいますね。あ、プレゼントといっても、うちの学部に属するコンピュータ、ということになっただけなんですけどね。もともと研究費で買ったものだし、将来的には処分しなきゃいけないものだったから。
人に頼まれた論文集めの仕事ですが、最近頼まれた本が、図書館でサーチしたら、うちの大学のスポケンキャンパスにあることが分かって、それをオーダーして2週間もかかってやっと来たんですが、今日ずーーーと読んでたんですけど、あのー、全然頼まれた内容載ってないんですけど。はぁぁぁぁ。みんなテキトウだなぁ。本1冊読み終わる勢いだったので、まさに雑用やらされている気分満喫しちゃいました。
くさくさしたので今日はジムに行って相変わらずトレッドミルで走ってきたんですが、私、やっぱり昔とは違うのねーと実感しました。つまりそんなに若くないなーということ。月曜日にもそのトレッドミルで走りながら同じ事を思ったんですが、2年前同じトレッドミルで走っていても、相当レジスタンスをかけてさくさく走らないと、めったなことでは脈拍が170越えるなんてことはなかったのに、今は5分もしたら168になって、ぎゃー!と焦っちゃうんです。私の場合は、カーディオ系の運動をしたいだけなので、150-160の間の脈拍で運動をしたほうがいい、と思っていたので、最初にレジスタンスをかなりあげてから始めたんですが、あっというまにぐいぐい上がっていってびっくり。2年前との違いは何?やっぱり年?
そして私は月、水、金、とジムに通うことにしているんですけど、毎年学期初めって、すっっっごく多いんですよねー。学生さんが、「よーしこの学期は頑張るぞ!」と張り切るからなのか何なのか。でもミッドターム(中間試験)が近くなると呆れるほど人が少なくなるので分かりやすいです。でも30分間、150-160の脈拍をうろうろしながら汗を流すと、終わった後が爽快で、外に出ても零下なのにぜんっっぜん寒くなくて気分いいです。週末は久しぶりに泳ぎにいこうかな。
...続きを隠す
関連カテゴリ:アカデミックなこと
| コメント (0)