ウォレス・コレクション

 | コメント(0) | Edit

前回の続きですが、早朝の市場を出た私はすぐに地下鉄に乗ってMayfairと呼ばれるエリアの北側、Maryleboneエリアの近くまでやってきました。このあたりのショッピングストリートは前回来た時にうろうろしてみてかなり気に入っていたので、絶対また来ようと思っていたのです。一番人通りが多いのがHigh street(多分本当の名前はMarylebone High Street)で、イギリス人の友達が「あなた本屋さんが好きっていってたよね?High StreetにDaunt Booksというのがあってきっとあなたの好みだから是非行ってみて」と教えてくれていたので、迷わずそこへ向かいました。

果たしていってみると私の好みのど真ん中ストライク。旅行に行くとすぐに雰囲気にひたりたがる夢見がちな私としては(?)是非ともイギリスな本を購入したい!と思い、何度も読んだモームでも買うかなといろいろと見ていたら目移りしまくりで、そのうちその本屋さんだけで1時間費やしそうになったので、非常に気になったJane Austenへのトリビュート的な本、Patrice Hannonという人が書いた"Dear Jane Austen"を購入しました。一見、恋愛相談書のように見えるこの本ですが、大学教授である著者がJane Austenの小説に出てくるヒロインたちを完全分析していて、小学5年生の時に母が買ってくれたEmma(当時の私にとっては読んだこともないほど分厚すぎる文庫本で、その分厚さを見るだけで心がわくわくと踊りました)を何度も何度も舐めるように読んだ私にとって、本当にJane Austenが返事を書いてくれているのではないかと錯覚しそうになるような内容です。最近読んだ本のことはすぐに忘れてしまう私でも、当時読んだ本のことは忘れてなくて、当時の自分の想像(エマの生活など)すら思い出すことができて不思議な感覚でした。エマは私にとっては鼻持ちならないヒロインだったけれど、そういうのに憧れる年齢でもあったなぁと今となっては思うのです。

その他にも2冊本を買って外に出ると、同じストリートにあるFish Worksというお店が目に留まりました。普通のお魚屋さんのようなのに、なんだか小洒落た雰囲気。外にだしてあるチョークボードに"Fish & Chips Takeaway"なんて書いてあったので、お魚屋さんからフィッシュ&チップスを買うのもいいかもと思ってあっさりと入ってみると、とても雰囲気の良いお兄さん達が新鮮な魚を扱っています。お魚が揚がるまでと思って待っていると、そのうちの一人が、「中で待ったら?」というので中を見せてもらうと、なんとも素敵なレストランでした!今度は是非中でお食事したいです。

こうして特製タルタルソースを別に入れてもらったフィッシュ&チップスと、Jane Austenのトリビュート本を持って訪れたのが、上の写真の美しいマンチェスタースクエアなのです。写真で見えている建物はかの有名なWallace Collection。なんとも贅沢な美術館で、他のたくさんのロンドンの美術館と同じく、無料で入れます。そこに早く入りたい気持を抑えてこのスクエアの周りを写真を撮りながらゆっくり歩いているとその日2つめの幸運が訪れました(ひとつめはポートベロー)。なんと、この写真に写っている赤ちゃんをつれたお父さんが、「観光客?ひとり?中にはいりたい?」と、プライベートガーデンなのに鍵を開けて一緒に入れてくれたのです!なんという幸せ。このようなところをロンドンのキーガーデンと呼ぶそうですが、年間を通して一定額の寄付をすると鍵をもらえて自由に使えるところだそうです。持ち込んだフィッシュ&チップスでスティッキーフィンガーになりながら、ベンチに腰掛けてJane Austenの書いたヒロインに思いを馳せるだなんて、まさに願ってもいない、私にとって理想のブリティッシュな週末です。2時間ほどロンドンにしては珍しい快晴の下、貴重な時間をすごしました。

そのあと入ったウォレスコレクションも最高でした。私が今まで入ったロンドンの美術館の中で確実に3本の指に入ります。建物自体も素敵。私はローマではボルゲーゼ美術館を愛していて、今までなんと8回も行ったのですが、質の良さではこのウォレスコレクションはそのボルゲーゼと似た魅力を持っていると思います。個人がこつこつ集めた美術品の数々をこうしてまとめてみると、何ともいえない、ロジックでは説明できない不思議な方向性を持っていることに気づきますね。本当にかなりオススメです。何度も言うようですが、こんなにレベルが高いのに無料だなんて信じられません。中庭のカフェで飲んだアイスティーも、ちゃんと茶葉からアールグレイを煎れてくれてそれも感激でした。

コメントする