よくいただく質問4つ。

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週に1度程度の割合ですが、ちょこちょことご質問をいただくことがあって、回答をまとめておくのもいいかなと思って、たまのゆったりした日曜にやってみようと思いました。質問の分野はさまざまですが、参考程度にどうぞ。あと、数週間前にメールをくださったFさん、高校を卒業して引っ越しのあと大学に行かれるという方、メールアドレスが携帯のものだったので、私のお返事が届かないようでした。もしよかったらPCのアドレスでまたメールくださいね。また、Fさんからの質問プラス、最近メールをいただいたIさん、Tさんからのご質問を参考にしていますので、個人に回答さしあげたメールを質問、回答ともに編集していますのでFさん、Iさん、Tさんそれぞれからの質問の流れとはやや違いますがご了承くださいね。

1. 海外での管理栄養士の立場は日本における立場と違うというのは本当ですか。

「海外」とひとくくりにすると難しい質問ですが、私が栄養士の方と知り合う機会のあった、アメリカ、タイではそれぞれに日本における立場とは違っていました。アメリカだけでいうと「栄養士(registered dietitian)」という立場は一つのプロフェッションとして確立されていて、そういった意味では「医師」という立場や「教師」の立場などの確率されたプロフェッションと同じ、ということになります。ただ、お給料などの話になるとやはりお医者さんや弁護士さんのお給料は栄養士のそれよりもはるかに良いです。ただ、だからといって、同じ職場で働く事も多い「医師」と「栄養士」の関係は決して上下関係にはなりません。日本では、上司部下のような雰囲気になることが時々あることを考えると、そういう意味ではアメリカの栄養士さんはとてもパワフルで「専門的知識」を持った人としてお医者さんにも積極的に意見し、お医者さんもしっかりそれを聞くので、受ける印象はとても違います。

2. まさみさんは語学はどれくらい学んでから大学に編入したんですか。

日本で初めて社会人になった頃は、私はそれまで受験というものをほとんどといっていいほど経験していなかったこともあって、英語力は一般の大学卒業のみなさんと比べると非常に低かったと思います。しばらく仕事をしたあと渡米したのが1996年の7月で、大学に編入したのが1997年の1月ですので、その間の6ヶ月は語学学校に通いました。2ヶ月が1タームの語学学校だったので合計3レベルを経験しました。最初はレベル3という、日本でいうと高卒程度の英語力のレベルからはじまり、4、5とあがりました。その語学学校ではレベル5を卒業すると、付属の大学(ワシントン州立大学)への編入が可能な語学力があると判断されます。

世の中には語学学校はたくさんありますが、この大学付属の学校は「大学で学ぶための英語」を教えてくれるところでした。会話力にはあまり力は入れず、分厚い本を読んだり、エッセイを書いたり、というような総合力をつけることに力を入れていて、はっきりいってものすごいスパルタでした。宿題が毎日毎日大量に出て、学校が4時や5時に終わっても、それから図書館で夜の11時まで勉強しないと終わらないほどでした(夕食は軽いサンドイッチなどで間にさっさとすませてました)。また予習も必要な雰囲気だったので、朝早く起きてその日の授業のための予習をしてからクラスに行っていました。ですから、その6ヶ月の真剣勝負に比べると、渡米前はゼロといってもいい勉強量だったと今となっては思います。でも、短期間とはいえそれだけ毎日やると、先生方がすばらしかったこともありますが、それなりにちゃんと授業にもついていけるような力がつくので大丈夫です。レベルをパスするのもなかなか難しいので緊張感もあったと思います。

また私はその後すぐにキャンパスのコンピューターラボでのアルバイトを始めたのですが、そのバイトこそが私の会話力を一気にあげてくれたと思っています。「仕事」なのでちゃんと時間毎ににひきつぎをしたり、様々な問題を解決したり、ラボにくる学生さんにいろいろなアドバイスをしたり、と働き始めた初日からかなりのレベルの会話力が要求されます。でも、今思えば、そういった会話を上達させるにはとにかく使うしかないので、実はどんなところでも上達する可能性があります。今現在仕事で使っている英語の基礎になるのは、実は大学での勉強のために通った語学学校で学んだ事ばかりだと強く思うので、そういう目的の語学学校に当時通う事が出来て本当に将来(今)のためになったなと思っています。

3. 自分で学費をかせいでアメリカの大学院に通う事は可能でしょうか。

こればかりはなんともいえません。可能でない事はないかもしれませんし、私も大学院の時はAssistantshipをいただいていて学費はゼロ(というよりAssistantshipの給料と差し引いて払わなくて良く、給料も出るという状態)でしたが、はっきりいって両親に甘えることも多々ありました。アメリカの田舎では車がなければ生活できないので中古とはいえ車を買い、メンテナンスし、家賃も毎月払い、パーキングも、授業でつかうテキスト(高額)、時々日本に帰る旅費、インターネットや電話などの通信費、コピー代、いろいろ考えると出費はつきません。ボロボロの部屋を借り、車は友達に乗せてもらい、テレビも買わず、インターネットも図書館で、というふうに節約することはできるかもしれませんが、かなりつらい日々になりそうです。田舎町だとコンビニなんてないので車で食糧の買い出しに行くことになるんですが、そういうときに「車にのせて」と毎回誰かに頼むのはものすごいストレスだと思います。

ただ、現在社会人で、それなりの貯金があってそれを切り崩していく、というのは可能かもしれません。よく「どれくらい貯金すればいいのでしょうか」と聞かれることもあるんですが、大学の種類(私立、州立など)によって全く額が違うし、住む町によって(田舎、都会など)お金のかかる場所、物も違ってくるのでなんともいえません。私が住んでいた田舎は当時で月々10万円から15万円くらいの生活費(家賃、車のメンテなどすべて込みで)という印象でした。もちろんそれより豪華に暮らしていた人もいますし、節約で半分くらいにしていた人がいたとしても納得かもしれません。でもこれに学費、教材費などがかかると思ってください。アメリカのレジテントでない場合は学費は非常に高いです。

4. FAOなどの国際機関で働くには博士号が必須ですか。FAOで就職するにはどんな内容の研究にしたほうがいいですか。

博士号は必須というわけではありません。ただ、競争の激しい世界であることは確かですので、単純に履歴書を比べたときに博士号をもっていたほうが説得力があるということだと思います。研究の内容ですが、私の場合は微生物学に関する部分と社会科学(食品安全に関する行動科学)に関する部分とがあるUSDAの大きなプロジェクトがPhDのプロジェクトでした。応用統計学を副専攻にしたのは、単純に興味があったからです。学位取得の分野は、そこから研究者になる場合はまさに自分の研究人生の基本になる部分ですので、自分が特に興味のある分野である必要があると思います。ですからそれがFAOに勤めるのに大事かといわれると微妙なところです。国連の専門機関は経済的に同じ分野の専門家を2人同時に雇う余裕がありませんので、それぞれの個人が自分の分野を分担して仕事をするということがよくあります。ですから、自分の専門分野と同じ人がもしもうすでに組織にいる場合は、雇われる可能性は低くなってしまいます。

私が思うに「国連」や「その専門機関」というのは単なる職場としてのオプションですので、「何をしたいか」のほうに主体をおいたほうが自分を見失わずにすむと思います。FAOで働いている人は私も含め、いたって普通の人がほとんどですが、はじめて着任するときの同じポストへの応募者は少なくとも100人、エントリーレベルの若いポストだと800人になることもあるそうです。強烈な才能や知識が必要ということではなく、ある程度の才能と知識があれば誰でも働けるのですが、運とタイミングも同じように大事になってしまうのが残念なところです。たとえばXXの需要がFAOにあるから、ということでがんばってそれを研究してきても、いざ応募しようというときにもしそのXX関連のポストが空いていない場合、またそのXX関連のポストを占めている人が比較的若い人で、後20年ほど長くFAOで働いてしまう場合、その分野で雇われるチャンスは20年間ゼロなわけです。

ですから、国連は目指すところというよりは、いろいろと自分の好きなことをやってきたうえで、もし目の前にオプションとして空席があれば、応募してみる、というスタンスで心においておく、というふうに思うのが一番かと思います。私の場合はそうでした。とにかく自分の好きな分野で思いっきり研究をして自分の知的好奇心を満たす、というのが博士課程にはとても大事な心がけだと思います。そうしておかないと、いざ何かでつまづいたりしたときに(博士課程では本当によくあることです)、「自分はなんのためにこれをやっているんだっけ?」と考え始めてしまい、心が折れてしまいかねません。好きだったらずっと続けられますよね。そして就職はゴールではなくスタートなので、自分が思う存分やってきたことを本当に生かすのは就職したあとだと思います。そのときにそのテーマが「就職するため」のテーマだった場合はちょっと自分を見失ってしまうんじゃないかと私は思いますがどうでしょうか。

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